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4サイクルエンジンにおいては、吸気・排気の2動作を、吸気バルブ・排気バルブの開閉により行う。この開閉を担うのがカムシャフトである。カムシャフトとは、カム(山)を連ねたシャフト(棒)で、クランクシャフトからベルトやギヤ、チェーンなどを経て駆動される。そしてカムシャフトが一回転するごとにカムがバルブを開き、吸気・排気が行われるのである。
開発テーマ
●有効バルブ面積の確保 ●関連動弁系への負担減少 ●静粛性の向上 ●ドライバビリティーの追求
●エンジン機種別,吸排気別の特性理解 ●耐久性,強度の向上 ●装着性の向上とデータ提供
吸排気非対称Gコントロールプロフィール
カムがバルブを開く時は、短時間で大量の混合気を有効に吸入できるため、高い加速度(G)※1が求められます。しかし逆に、バルブを閉じる時は加速度(G)が高いとバルブシートへの衝撃やバルブスプリングへの負担が大きくなるため、加速度(G)を低くしてバルブを静かに着座させる必要があります。そこで吸排気のプロフィールを非対象にして、加速度を適正な値にコントロールすることで、シートへの衝撃やスプリングへの負担を著しく低減させ、回転余裕と動弁系の信頼性向上を果たしました。
この吸排気非対象Gコントロールプロフィールは“大きな作用角とハイリフトを確保しつつもバルブシステムに負担をかけない”という相反した要求性能を現実のものとしました。

有効バルブ面積の確保
エンジンチューニングとは、一般的にカム作用角とリフト量を変更してエンジンのトルク特性を操作することで、最大トルクを上げたり、発生点を高回転側にして最高エンジン出力を上げることです。
しかし、厳密にエンジンチューニングする場合は単に作用角とリフト量の数値だけではなく、徹底的に吸気効率を追求して有効なバルブ面積を確保するという考え方で取り組むべきです。バルブリフトが高いと、空気の流路は大きく開かれ、大量の空気を吸い込むことができます。しかし、大きなバルブリフトはバルブシステムに負担をかけ、高回転の妨げとフリクションの増大を招きます。また、大きなカム開度(作用角)は大きなバルブオーバーラップから生まれる慣性吸気効果により高回転でエンジン出力を引き出すことができますが、低回転での運転性悪化につながります。したがって必要かつ十分な作用角で、可能な限りハイリフトを確保し、大量の空気を吸い込む必要があります。
吸気効率を追求したこの設計思想を取り入れたTOMEIカムは、ノーマルを100%としたとき、実に130〜150%の有効バルブ面積を確保しています。

35年に渡るカムシャフト開発、生産の実績
開業と同じくして、各レースでの勝利へのためにカムシャフトの開発、生産を開始しました。それ以来、35年間絶え間なく研究開発を続け自ら開発したカムにより多くの勝利を獲得してきました。現在も数多くのレーシングカーにカムシャフトを供給し続け、勝利を獲得しています。

徹底した生産品質管理
これらの幾多にも渡る生産工程を経て1本1本丁寧に生産されます。お客様には、厳しい検査をクリアした最高品質の商品だけが出荷されます。

表面処理の実施

表面処理前(奥) 表面処理後(手前)
エンジンオイルがまだ潤滑していない状態の時でも、摺動表面を保護する目的で、ローラーロッカータイプ以外のカムシャフトの表面にリン酸マンガン皮膜処理(リューブライト処理)を施します。 これは浸漬法によりカム山表面に厚さ0.5〜15ミクロンの薄いリン酸マンガン系の不動態皮膜を生成し、金属同士の直接接触を防止することで高い摺動性を確保して滑らかなカムの動きを実現します。

最新鋭CNC※2カム研削盤による超高精度、高速研削

周速80m/s 4400rpm。超高速主軸とダイヤモンド砥石の組み合わせを最新の32bitコンピュータで制御。自動車メーカーと同一の専用機を用いることで、作業時間を300%向上しながらも高精度研削を実現。驚異のプロフィール精度と低価格を実現しました。

オシレーション研削による波目付仕上げ

カム研削時のオシレーションにより、カム山表面に波目をつけます。これにより、カム山表面にはオイル溜まりが形成され、フリクションロスを低減させ、かじりを防止します。

ポンカム、プロカムの設定

簡易装着と調整なしで高性能を求めたPONCAMと様々な仕様に対応し、プロフェッショナルの手による調整により超高性能エンジンを実現化するPROCAMをそれぞれ設定。ユーザー様のニーズに広く対応します。

※1

 

バルブが加速して開いていく時をプラスの加速度とすると、そのバルブが減速するときはマイナスの加速度が発生する。次にバルブが閉じる方向で加速していくときはマイナスの加速度で、バルブが着座するために減速するときはプラスの加速度となる。プラス方向の加速度はカム面がリフターを押す力で発生し、大きくすることができるが、マイナス方向の加速度はバルブの質量とバルブスプリングの反力に支配される。
※2 CNCはコンピュータNC(NUMERICAL CONTROL)のことで、コンピュータによってプログラム、制御される工作機械である。あらかじめプログラムされた加工条件に従い自動的に加工していくため、生産能力が高まる。また、加工精度が向上し安定した品質が確保できる。

 



PONCAMの特徴
■バルブタイミング調整済 ■簡易取付 ■強化バルブスプリングへの交換不要 
■全領域での高性能 ■抜群の加速性能 ■安定したアイドリング
■NVCSを有効活用 ■ドリフトの必需品 ■ポン付けタービンとの相性抜群
バルブタイミング調整済
バルブタイミングは、ピストンの運動に対するバルブの開閉時期のことで、一般にピストンの上死点または、下死点からのクランク角度で表します。カムを交換したとき、1°単位のバルブタイミング調整によるオーバーラップやバルブ閉じタイミングの操作によって、エンジン回転の安定性や低中速トルクなど、エンジン特性は驚くほど変わります。このタイミングは、エンジン負荷や回転数に応じた適正値が存在し、一般にはエンジンチューナーの手と実走テストによりドライバーの要求に合わせています。PONCAMは、エンジンベンチや実走行の膨大な量のテストによるトルク特性と加速データ等※から、最適な作用角、バルブリフトを選定するとともに、適正なバルブタイミングを割り出してノックピン位置をあらかじめずらして製作したモデルです。ノーマルと交換すれば、適正なバルタイに合い、バルタイ調整は必要ありません。チューニングエンジンのポテンシャルとドライビングプレジャーを広く一般のものとしました。
※加速データはGセンサー(加速度センサー)で計測する。Gセンサーは装着する向きによって前後G、横G、上下Gが計測できる。加速を計測するときは、車両の前後方向の向きに取り付け、+(プラス)を加速側にする(マイナスは減速Gとなる)。ちなみにF1の加速Gは3G、ジェット戦闘機の加速は6〜7Gである。

簡易取り付け
ラッシュアジャスタータイプでの簡易取り付けはもちろんのこと、RB26等のソリッドタイプにおいても、カムベース円の寸法の超高精度を実現し、ほとんどシム調整を不要としました。

強化バルブスプリングへの交換不要
カムシャフトのプロファイル設計において、開き側の加速度を大きくし、閉じ側の加速度を小さくすることで、バルブスプリングへの負担を大幅に低減することに成功しました。カム取り付け時の純正バルブスプリングが正常であれば、バルブスプリングの交換の必要性はありません。

全領域新性能


PONCAMの最大の開発目標は全領域での高性能です。従来のチューニングシーンでは高回転でのパワーの追求に固執した部分もありましたが、本来のチューニングカーは低回転から高回転まで気持ちよく速くあるべきです。そこでPONCAMは、それぞれの車種においてエンジンベンチや実走行でのテストを行い、全領域での性能アップを目的とした開発を行いました。そして、全域で滑らかな出力特性と俊敏なレスポンスを兼ね備えることに成功しました。これは高性能というより、過去には実現できなかった技術の進歩による、もはや新性能といえるでしょう。

抜群の加速性能
TOMEIでは、実車に加速度センサーを搭載し、カムの交換での加速度テストをおこなっています。テストの結果、適切なカムプロファイルの設計と適度なオーバーラップを設けることにより、俊敏な加速レスポンスを実現しました。PONCAMの装着によりターボ車ではタービンレスポンスが向上し過給の立ち上がりが早くなり、NA車でも低回転での燃焼効率の向上により、それぞれ加速性能は大幅に良くなります。
左記の表は、S14(SR20DET)にPONCAM TYPE Rを装着した表です。このようにノーマルに対して大幅に加速の向上を実現します

安定したアイドリング
PONCAMは適切な作用角、リフト量、オーバーラップ量と徹底した安定プロファイルの設計により、アイドリングも安定しています。アイドリングの安定によりエンジンストールやハンチングも起こりません。

可変バルブタイミングを有効利用
可変バルブタイミングシステムは、エンジンの回転数に合わせてコンピューターが吸気バルブの開閉タイミングを変えることで、効率のよい燃焼ができるようにしたシステムです。(日産車のNVCS等)この結果、高回転域ではハイパワーを得るいっぽうで、低・中回転域では大きなトルクと低燃費を実現しています。 TOMEI-PONCAMは、その高性能を活かすために可変バルブタイミングの動きを計算したバルブタイミングに設定され、ポン付けで可変バルタイとの相乗効果により、アイドリングの安定と低速域から高速域までの確実なパワーアップを可能にしました。

可変バルブタイミングの例 (S14 SR20DET)
回転数
INバルタイ126°固定
INバルタイ106°固定
IN可変バルタイ
0〜1050
(アイドリング)
×
1050〜
5700
×
5700〜
×
 
上の表とグラフは可変バルタイと、可変バルタイで採用されている作用角が固定されていた場合を表しています。IN126°はアイドリングの安定と高回転域の伸びを実現させるバルタイ。106°は低中回転域のトルクの盛り上がりを実現させるバルタイです。可変バルタイは、この両方の良い部分を採用した、理想的なシステムです。

ドリフトでの必需品
PONCAMの開発目標は全領域性能アップです。ドリフトでは微妙なアクセルワークによりドリフトアングルをコントロールしますが、PONCAMを装着することでさらにエンジンがアクセルに即反応しコントロール性を増大させます。また進入スピードを上げることも可能にし、さらに大きなアングルと飛距離も増大させます。 ドリフターには絶対必要条件といえるでしょう。

ポン付けタービンでの相性抜群
ポン付けタービンをノーマルカムを使用して組み付けると、大きくなったタービンを充分に活かすだけの排気燃焼ガスを得られずに低中速トルクが減少傾向になってしまいます。 PONCAMは、各種タービンとのマッチングテストを数多くおこない、大きめのタービンの過給の立ち上がりを早くして、俊敏なレスポンスを得て高回転までタービンを生かすことを可能にしました。ポン付けタービンへの変更時にはPONCAMが有効です。

PONCAM + アジャスタブルカムギアの設定
PONCAMはすべて適切なバルブタイミングに設定されていますが、バルブタイミングを変えてさらに自分にあった特性にすることも可能です。従来、バルタイを調整する際は、様々な計測工具と手間をかけて行わなければなりませんでしたが、PONCAMは初期のバルタイ値がはっきりしていますので、アジャスタブルカムギアの目盛りに合わせることでバルブタイミングを簡単に変更し特性を変化させることが可能です。特性を変化させ自分に合った走りに対応させることができるのもPONCAM選択の理由となることでしょう。また価格設定も割安価格に設定しています。


取り付け位置を中心に、インテークバルブの閉時期を再調整することによって、エンジンの出力特性を変化させることができます。コースやドライバーの好みに応じて調整してください。
クランクプーリー左回転(バルタイ進む)→低速重視
クランクプーリー右回転(バルタイ遅れる)→高速重視

PONCAM + TOMEI ECUの設定
カムシャフトを変更すると、コンピューターの再セッティングが必要となります。TOMEIでは、PONCAMの開発の際に同時にECUの開発もおこない、PONCAMに最適なセッティングが施されたECUとの組み合わせを設定しています。ECUの仕様も基本的なSYSTEM1からターボチャージャーやインジェクター交換にも対応したモデルまで広く対応可能です。そのうえ、組み合わせによる低価格も実現しています。

PONCAM +REYTECの設定
REYTECの基本データもECUと同様にPONCAMとの組み合わせでのデータ集積を行っています。ご注文時のオーダーシートにご記入いただくことにより、お客様の仕様にあった初期データを入力して出荷します。REYTECは、エアフロレス制御となり、レスポンスやパワーがさらに優れています。また、REYTECで可変バルタイの設定を変更でき、よりPONCAMの性能を引き出します。 (要通信キット)。




PROCAMの特徴
■35年間プロフェッショナルに信頼され続けた実績 ■超ハイパワーへの対応
■可変バルタイ対応品の新設定 ■ソリッドタイプの設定 ■センター給油タイプの設定
35年間プロフェッショナルに信頼され続けた実績
TOMEIでは、38年間のカムシャフトの歴史の中で数百種類にまでおよぶカムプロフィールを設計し、プロフェッショナル達に信頼され続けております。その車種も多岐に渡り、厳選されたタイプだけが現在のラインナップとなっております。

超ハイパワーへの対応
ドラッグレースやサーキットタイムアタック等で超ハイパワーを求めた時、ノーマルエンジンに対して大幅なチューニングを必要とします。例えば大風量のターボチャージャーを使用するときや、NAエンジンにてハイコンプなどにする場合において豊富なラインナップから、車両の特性に合ったベストなカムをチョイスできます。

ソリッドタイプの設定
SR20やRB20、RB25、VG30、CA18等のラッシュアジャスタータイプのエンジンは、高回転での追従性に欠く部分があリます。そこでTOMEIでは、ソリッドピボットやソリッドリフターの開発と同時にソリッド専用のカムプロフィールを設計することで、ソリッド化を可能にし、超高回転を対応可能にしました。

PROCAM + アジャスタブルカムギアの設定
PROCAMは、基本的にバルタイの調整が必要となります。PROCAMとアジャスタブルカムギアの設定により、低価格化も実現しました。

PROCAM + REYTECの設定
ドラッグレースや最高速仕様の車輌制作の際に作用角やリフト量の高いPROCAMを使用し、大容量のタービンやインジェクターを使用した時においても、REYTECを使用する事によりセッティングを自在のものにします。REYTECは標準タイプおよびハイブーストタイプそれぞれに対応します。(要通信キット)