-
ピストンの上下運動を回転運動に変換する部品で、爆発荷重及び慣性力と、曲げ振動やねじり振動による荷重が加わる。
開発テーマ
●バランス率 ●慣性質量の低減 ●給油の安定と給油量の確保 ●ピン、ジャーナルの精度
●撹拌(かくはん)抵抗の低減
フルカウンター
各スロー(気筒)ごとにカウンターウェイトを設けて(12カウンターウェイト)慣性カをバランスさせることでクランクシャフトの曲げ変形を抑え、振動、フリクションの低減および、ベアリングの信頼性を向上させました。(一部モデルを除く)

2系統給油
 
クランクピンへの給油を二つのジャーナルから供給する2系統給油とすることで、給油量を確保しました。また、X型オイル通路によりクランクシャフトの遠心力を使った給油ができるため、高回転時の給油信頼性が向上しました。さらに、オイル穴の出口に面取りを施し、オイルの抵抗を低減しました。(一部モデルを除く)

バランス率
 
理論解析により独自の形状を持ったカウンターウェイトデザインを採用、重量増を抑えながら適正なバランス率(往復運動部分の慣性力を打ち消す割合)を確保しました。

エッジシェイプ(空力的処理)
 
高回転時、カウンターウェイトはエンジン内部でオイルと空気を切り開いて200km/h※1を超えるスピードで回転します。その時、抵抗のある形状では損失が大きいため、カウンターウェイト両面を空力的に有利なエッジシェイプとし、クランクケース内のオイルおよび、空気の攪拌(かくはん)抵抗を最小限にしました。(RB28,EJ,EJコンペティションモデル以外に採用)

鍛造 SCM435
材質にクロムモリブデン鋼(STD普通鋼)を使用し、熱間鍛造製法を採用しました。鍛造は熱した材料を金型を用いて鍛練(金属塊をたたく)し、結晶粒を微細化し組織を改良、機械的性質を改善するもので、クランクシャフトの形状に沿ったファイバフロー(鍛流線)が得られます。ファイバフローは鍛造方向に伸びた繊維状のもので、その伸びた方向は直角方向の2倍の強度を持つのです。(SRに採用)

プーリー取付軸のWPC処理
クランクプーリー取付軸をWPC処理※2することで、フレッティング(金属の接続部表面で焼き付きが発生すること)を防ぎ、エンジンのサービス性悪化を防止しています。(RBに採用)

トップチューナーの要求に応える徹底した品質管理
エッジシェイブ、X型2系統給油。世界最高水準の設計思想を取り入れつつも、生産工程を完全に把握、生産性を考慮して安定した品質が確保できる設計を追求しました。素材の選定から熱処理、研摩工程までを徹底的に管理し、最終検査工程では、20℃の定温室内で20項目120箇所にもおよぶ測定項目を全数検査します。こうした世界トップカテゴリーのレース用クランクシャフトと同一の方法で行う検査と品質管理によって、直列6気筒2.6リッターエンジンでは世界にも例がない驚異的な運転条件“10000rpm 1100PS”を可能にしました。

※1 ウエスト半径をR=65mmとしたとき、回転時の軌跡外周は408mm=0.4m。エンジン回転が8500rpmだとすると、毎秒141.7回転で周速は56.7m/s=204.1km/h
※2 WPC処理は直径45μmのセラミック球を、噴射速度200m/sでプーリー軸表面に打ち付けることで、微少な断面円弧状を成す凹部も形成する。